記憶に残るお店でありたい。いつも、そう思っている。
先日訪れた埼玉のとあるお店は、そんな私の気持ちをぎゅうぎゅうと鷲掴みにする
とんでもないお店だった。
すべてが完璧。というか、私好みのストライクど真ん中なお店。
どういうところが完璧なのかと聞かれても、完璧な部分がたくさんありすぎて
簡潔に伝えられる自信がない。
それに、私の拙い文章力でダラダラと書くにはあまりにも失礼すぎる。
だからあえて何も書かない。
けれど私にとっては、本当に完璧なお店だった。
↑ 冬季限定 牡蠣のムニエル焦がしバターソース
これがもう、最高においしかった。今までで食べた牡蠣料理ランキングでぶっちぎりの一位。
焦がしバターソースってこんなに人を幸せにできるものだったのか。
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ひとつだけ話すと、実はこの日は予約で満席だった。
急に思い立って行ったので当然予約をしていない私は頭の中が真っ白。
でもお店の方は笑顔で「おひとりなら」と、快く席を作ってくださったのだ。
お会計の時お礼を伝えようとしたらなぜか涙が出そうになってうまく話せない。
伝えたいことはたくさんあったのにいざ声を出そうとすると胸が詰まって声が出ない。
やっとの思いで伝えたのは「ずっと来たかったんです」その一言だけ。
あんなことは生まれて初めてだった。
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目を閉じるとあの時に食べたしあわせな味が記憶の中に蘇ってくる。
味だけでなくそれと同時に、お店の方たちがしてくださった温かいおもてなし、
その時に感じた空気や気持ちなど、あの日が昨日のことのように思えるくらい鮮明に蘇る。
そんな余韻が残るお店は、本当に完璧。
駅からちょっと離れた、住宅街の中にある家族で営む素敵なお店。
わざわざ新幹線に乗ってでも絶対にまた行きたいと心から思うし、必ず行くと思う。
今度行ったときはちゃんとお礼を言おう。
そして私自身のお店もこんな風に誰かの記憶に残るお店になりたいと、
やっぱり今日も思うのである。
↑ 帰り際に下さったお店の名刺。大切に保管しています。